2009年2月10日(火曜)、和光大学J-104教室で、2008年度のイメージ文化学科卒業論文・卒業制作合評会が行われました。時期的な理由や、都合が悪かったり、体調不良であったりした学生も多く、大盛況とはいきませんでしたが、3年生も含めて多くの学生・教員の参加がありました。
今回は、合評会の発表について、各ゼミ別にご報告したいと思います。 (坂井)
【松村ゼミ】
・加藤尭くんの「死神のビジュアルルーツ」は本人が研修のため不在なので、展示のみとなった。マンガにもしばしば登場する死神のイメージはどのように始まったのかを、骸骨、鎌、黒衣の三点を中心に探ったもの。死の舞踏、タロットカード、そしてスウェーデンの映画監督ベルイマンの映画「第七の封印」といったさまざまな資料が紹介されていて、死神イメージがさまざまな歴史的要因から形成されてきたことが納得的に示されている。
・千葉恵さんの「岩手県・宮城県の地蔵菩薩」は、岩手・宮城両県の県境に近い宮城県気仙沼市出身の千葉さんが、かつて北進一氏の自主ゼミに参加して興味を覚えた仏像のうち、個人的にもっとも不思議さを感じた地蔵菩薩に絞って、故郷近くの両県を主に対象として、その分布や特色を考察したもの。担当教官のこの問題に対しての無知や無理解にもへこたれることなく、帰省のたびに両県のお寺や図書館を廻って資料を集めた労作。合評会では仏像の分布を手がかりに地蔵信仰一般の問題にも視点を広げてほしいという要望が山本ひろ子先生から出されたので、今後のさらなる精進を期待したい。
・山近匠人くんの「日本刀の特異性と独自的発展について」は、日本刀について起源、形状の推移、作製方法、精神性、海外における評価といったあらゆる問題をまとめたミニ百科。しかし日本刀のみならず刀剣一般に興味をもつ山近くんは、海外の刀剣との比較にも多くの頁を割いている。彼が苦労して集めた数多く図版を見ていると、人類は実用性以上の何かを刀剣に求めてきたと強く感じさせられる。語り始めると止まらず、発表時間超過で途中に指導を受けたほどの熱の籠もった発表だった。
【坂井ゼミ】
・卒業制作『空と海、精霊と大地』~世界諸文化におけるイメージの苑~ 浅賀舞子
作品は製作者が作り出した世界(小説化を前提としている)を一枚の絵画として表現したものである。9人の作品の登場人物が描かれるが、もっとも目を引くのは右半分に全身を描いた主人公「天狼」である。その向かって左側には8人の登場人物の胸像が描かれている。この作品の背景には、オアシスの国や騎馬遊牧民の国、砂漠の国などがあり、色や衣装、動植物のモチーフには多くの実在するイメージを豊富に取り入れている。小説の内容を想像させる奥深い作品に仕上がった。B1サイズ、ワトソン紙中目イラストボード。アクリルガッシュ。ポスターカラー。
当日の発表では、展覧会に展示されているため、実物はなかったが、画像をスクリーンに映し出してプレゼンテーションした。
・卒業制作「世界図Ⅱ 和光大学で得たイメージ世界」新井さゆき
「世界図Ⅱ」と題されたこの作品は、製作者がかつて描いた「世界図Ⅰ」の続編に位置づけられる。大学で学んだ図像や事物をイメージ化した多数のモチーフをまとめあげたものである。正方形の作品は、それぞれの四方を東西南北と設定し、方角にまつわるイメージを表わす。中央には東西の神話をモチーフにした渦巻が、中央にはゴシックの薔薇窓や遊牧民の天幕の天井部シャンラクが配置されている。机上に展示されるこの作品は、遠方からも接近しても楽しめる作品となっている。A1サイズのイラストボード(正方形)。鉛筆・水彩・アクリル絵の具。
発表では、本来机上に展示するものをイーゼルに掲げて、プレゼンテーションした。
・卒業論文「ソ連期における中央アジア独立」森啓二
本論文は、1991年に独立した中央アジア諸国の独立に至るまでの経緯と背景を、帝政ロシア時代からソビエト時代を通じて、探ったものである。筆者は、とくにソ連時代の政策に焦点を当て、それにより構成された諸共和国と醸成された民族意識が大きな意味を持っていたと指摘する。具体的にはコレニザーツィヤと「民族・共和国境界画定」に注目し、その過程を追った。また「停滞期」の汚職事件やペレストロイカによる改革の影響についても論じた。
発表当日は、体調不良のため、急遽発表ができなくなってしまったため、論文のみの提示となった点が、残念なところである。
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