橋本菜々さんの卒業論文は「コジモ一世時代の第一書記官について:絶対君主をめざしたコジモのブレイン的存在とは」。時は16世紀、フィレンツェ公国の2代目君主コジモ一世の時代に登場した3人の第一書記を個別に人物視点からあたった。
第一書記とは、今の日本で言う首相のような存在であるという。いわば、君主の右腕である。もともと「軍師や参謀といったブレイン的存在が好きだった」という橋本さん。大学2年のときに訪れたイタリア・フィレンツェでコジモ一世に惚れ込み、「第一書記」という存在を知ってから、「これは調べるしかない」と思った。
その第一書記の魅力を、橋本さんはこう語る。
「この人たち皆、貴族とかじゃないんですよ。フィレンツェの外にいた平民が自分で勉強して、知恵をつけてコジモのところに才能を売り込んできて、それをコジモが拾い上げいくんですね。自分の実力のみしか頼るものが無くて、自分の知恵で這い上がってくるというところにロマンを感じます。」
しかし先行研究はほとんどなく、イタリア語もわからない状態から手探りで研究を進めた。何日徹夜をしたかもわからない。ようやく翻訳した資料は本論と関係なく・・・ということもあった。
それでもイタリア語を読み進めていくうちに新しいことがわかると、「ドキドキしてもう夜眠れない」。論文を書くにあたってのアドバイスをたずねると、「恋したもの勝ち。情熱ですかね」と実に楽しそうだ。
知識を求めて明治大学のゼミに2年間通い、勉強し続けた橋本さん。その集大成である卒論の結論は、橋本さんなりの第一書記の定義である。
「私が調べて思った第一書記というのは、君主コジモ一世が、自分の気に入った人材、この人有能だなって思った人材を、自分の政権の中で自由に活躍させるためのお墨付きみたいなものが第一書記だったのではないかと、そういう結論になりました。」
最後に、「勉強をする作戦」を教えてくれた。
「私メディチ家に興味を持って、早稲田大学の講義に潜り込んだんですね。それで実はコジモ一世について勉強したいんですよって言ったら、その早稲田大学の先生が明治大学の先生を紹介してくれて。強いて言うなら、他の大学にもぐってみる、それでそこから伝手を捕まえてみるっていうのも、何かを勉強する作戦なのかもしれないな、と。」
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