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2007年度卒論・卒制紹介③「『毒のある助言』からみるロシアの現代社会」

March 31, 2008
sakai.jpg 2007年度の卒論・卒制紹介第3回は、酒井智子さん(坂井ゼミナール)の卒論「『毒のある助言』からみるロシアの現代社会」です。

酒井智子さんの卒論題目は、「『毒のある助言』からみるロシアの現代社会」。ロシアの児童文学作家グリゴーリィ・オスチョールの作品『ブレドリーニ・サヴィーティ』を題材に、ロシアの現代の生活や情勢を読み解いていこうという試みである。sakai.jpg

このテーマを選んだきっかけは、2005年に国会図書館で行われた「ロシアの児童文学展」だった。古典とされる口承文芸やお伽噺、あるいは現代の道徳的な児童文学の中で、風刺色が強く反面教師的なジョークが多いこの作品に興味を引かれた。

その後、原書を手に入れることができた。邦訳は出版されていない。辞書を片手に、翻訳を始めた。
ロシア語は1年のときに選択していたが、文学作品を翻訳には苦労が多かったという。

「詩ですから、韻を良くするために普通に書いたり話したりするのとは違う順番だったりというのがあるので、文法的な勉強だけでは訳すのが大変でした。」

さらに翻訳だけではなく、その物語が意味することを考察するためにはロシアの政治史の勉強がかかせない。そのために上智大学のソビエト政治史の授業に聴講生として参加し、専門知識を深めた。
すると、翻訳だけでは読み取れなかった作品の真意が見えてくる。

「(作品を)読んでいく中で、政治史だとかを知らないと、「これは何を言っているのかな」とかがわからないんです。政治史だとかを踏まえての作品なので、それを読み解いていくのが一番楽しかったですね。」

原書『ブレドリーニ・サヴィーティ』は95年から2年間、雑誌に掲載された作品である。本文に見られる「戦争」や「内戦」といった言葉からは、当時の社会情勢がうかがえる。
酒井さんは、この本だからこそ、95年ころの現代情勢が生活の様子が読み取れたという。

ソ連崩壊後のちょっとした混乱を描いているこの作品は、現在も本屋の店頭に多く並んでいるという。
ロシアには「アクネドート」という風刺があり、それが児童文学作品にも入ってきたと感じる酒井さん。それが何を意味するか、聞いてみた。

「ソ連崩壊でずいぶんアイデンティティクライシスが起こったようなんです。ソビエトという大国の一員である、というのがガラガラと崩れていって。気持ち的な混乱がすごく大きかったと思うんですね。それで、きれいな道徳だけではまかなえなくなって来たんじゃないかな、と思います。」

現在のロシアを見つめ、今後もこの著者にならう若者が増えるのではないかと考えている。

March 31, 2008 | コメント0

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