人類学者の川田順造さんが『母の声、川の匂いーある幼時と未生以前をめぐる断想』(筑摩書房)という本を出版、2月12日にお祝いの会が開かれた。出版パーティーなんぞは嫌いだが、今回は特別と川田さん。「いままで私もいろいろな本を出したが、今度くらい出来上がってうれしい本はない」(本書あとがき)。
会の発起人は、佐々木幹郎さん、陣内秀信さん、四方田犬彦さんと地元深川の古い仲間たちだ。
この本は、江戸時代から八代続いた高橋の米屋(上仙)の倅「順ちゃん」が、開けっぴろげで人情味溢れる深川高橋町民文化を愛惜する心を綴ったものです。
つきましては、「順ちゃん」の快挙を讃えてお祝いの会を開催したくご案内申し上げます。ぶらりとおでかけいただければ幸いです。
会場はもちろん深川(高橋市民センター)で、大勢の人が押しかけ、「順ちゃん」を囲んで大変な賑わい。地元の木遣りも披露された。二次会は、浜町の料理屋でゆったりと飲み、かつ話し……。
東京大空襲で焼け出された川田さん一家は、千葉の市川に移り住む。実は私の「未生以前」の家も深川にあり、大空襲のあと、親たちは市川市に疎開。戦後、私はそこで生まれた。もし空襲がなければ、私も深川っ子だったのだ。
『母の声、川の匂い』は、「自分史」という姿をとった出色の東京下町論。今年度、私が担当する授業「フィールドワーク論」は、「東京を歩き、フィールドノートを創る」のがテーマだから、この本も取り上げようか……。
いやそれは無謀でしょうな。「すみだ川―梅若幻想を育んだものは何か」は、全篇の白眉にして精緻な考察の章。若者にはその味は分からず、歯も立つまい。ですが口惜しいと思った学生諸君は、ぜひご一読あれ。
COMMENTS
コメントしてくださいな!
この記事はいかがでしたか? ぜひぜひご意見、ご感想、ご質問、なんでも書置きしてやってください。なお、コメントを頂く際、メールアドレスの記入は必要ありません。入れて頂いた場合でも公開される事はありません。